脳卒中とはどんな病気ですか? |
脳卒中は脳の血管の病気により卒倒、すなわち倒れるという言葉の意味があります。脳の血管の病気の代表的なものは脳の血管がつまる脳梗塞、脳の血管が破れて出血する脳内出血、動脈瘤が破裂して出血するくも膜下出血です。これらの病気は高血圧や糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病が原因となるものから、動脈瘤、脳動静脈奇形、モヤモヤ病などの脳にもともとある病気が原因となるものまであります。 脳卒中は、発症すると命に関わるだけでなく、命を救えても、手足の麻痺や感覚障害のみならず、話すことができない、計算ができない、注意が持続しないなどの高次脳機能障害や血管性認知症のような記憶障害が後遺症として残り、その後の生活に大きな影響を及ぼします。 脳卒中は死因の原因の第3〜4位を、また65歳以上の要介護認定となった原因疾患の第1位となっている大変な病気です。 |
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大変な病気ですがどうすれば良いですか? |
脳卒中はまずはならないように予防が大切です。高血圧や糖尿病や脂質異常症は脳卒中発症の危険因子ですのでしっかり治療しましょう。心房細動は脳梗塞を起こしやすい不整脈ですので抗凝固剤をしっかり服用しましょう。また、たばこや過度な飲酒も危険因子と言われております。 私は脳神経外科やリハビリテーション科専門医ですので、脳卒中になったばかりで点滴や手術が必要な急性期の患者様、また後遺症の残ったリハビリの患者様をみてきました。あの時しっかり高血圧を治療しておけば良かったという声をよくお聞きしました。 |
脳卒中になってしまったらどうしたら良いですか? |
まずは、脳卒中と関係する症状と思われる時は、すぐに救急車を呼ぶか医療機関に相談することです。意識がないということであれば誰でもすぐに救急車を呼びますが、少し呂律が回らない、手足がなんとなく痺れるという程度ではご自宅などで様子をみる方がいまだに多くいらっしゃいます。 脳梗塞であれば発病してから24時間以内であれば、病状や検査結果次第でtPAによる血栓溶解やカテーテルによる血栓溶解或いは血栓回収を行います。これらの治療は劇的に改善することも期待出来ます。治療開始が早ければ早いほど良い結果が得られる確率が高くなりますので、脳卒中が考えられる症状があればこれらの治療が出来る病院にできるだけ早く受診或いは救急搬送する事が大切です。脳出血やくも膜下出血でも様子をみていて重症化する時がありますので早く医療機関にかかるべきです。 急性期治療は、病気や病態に応じて点滴や内服治療や手術やカテーテル治療を行います。 脳梗塞に対する薬については複数の薬があり、脳の血管の動脈硬化が原因であれば抗血小板剤、心房細動という不整脈が代表ですが心臓に血の塊ができてそれが脳の血管につまるのが原因であれば抗凝固剤と薬の使い分けをします。抗血小板剤や抗凝固剤は数種類の薬があり脳や血管の状態をみて総合的に判断して患者様に適した薬を出していきます。 |
麻痺などが残ったりしたらどうしたら良いですか? |
急性期治療が終了したら回復期リハビリテーション病棟で集中的にリハビリテーションの治療を行います。 どの程度の回復をするかは人それぞれですが、完全に症状がなくなることが難しいのも現実です。ただ後遺症がありながらも装具や杖を導入し歩くことができるよう、日常生活ができるよう、時に復職ができるように訓練をしていきます。 |
自宅に帰ってからはどうなりますか? |
まずは出された薬の治療を怠ると再発に関連しますのでしっかり投薬治療を継続することです。リハビリテーションに関しては介護保険や福祉サービスを利用できれば、維持期あるいは生活期と言われるリハビリテーションを継続するのが原則です。 生活期、維持期に入った患者様でも、徐々に痙縮という筋肉のつっぱりが悪化し、手足の状態が悪化し、時に関節が拘縮し、身体状況や生活が悪化する人がいます。 残念なのが、まだまだこれらのことが十分に理解されていなく、後遺症だから仕方がないと思われている方が多くいることです。私の経験によると回復期の病院を退院される時から痙縮が強く治療を開始したほうがよい方と、退院後より2年から3、4年の経過で徐々に悪化して治療を開始していく方がいます。これらを見きわめて、適した治療開始のタイミングを逃さないことが大切です。ご相談されるのが遅く既に関節拘縮(筋肉がかたくなるだけではなく関節がかたくなっている)にまで悪化してから御相談をうける場合があり、そのような状態になると治療効果は望めません。 また脳の病気ですと、高次脳機能障害のため生活がうまくいかない患者様がいます。家族の方もどうして出来ないのか理解できていなく、がんばればなんとかなる、本人の努力が足りないと思っている人方々がいます。まずは診断し、適切なアドバイスをしていくことが重要です。 |